新型F900XRが入荷!TRACER900とのスペック比較も
ロードスポーツにウェイトを置いたアドベンチャーに与えられる「XR」を冠したモデルが、パラツインのFシリーズから新たに登場しました!
ゆったりしたポジションと扱いやすく十二分にパワーがあるエンジンは、どなたにもおすすめできる完成度です。
各部の写真と詳細な仕様、対抗馬トレーサー900GTとの比較もご紹介します。


詳細写真
まずは写真を見ながら各部をチェックしていきましょう!
S1000XR譲りのスポーティーなルックスがカッコいい! リア周りは軽快なフォルムで、フロントに塊感が出るよう上手くまとまっています ヘッドライトは、コーナリングライト搭載のLED スクリーンは二段階調整式。手前のレバーで簡単に切り替えが可能です こちらはロー状態。胸当りまでカバーします ハイ・ローの差は約55mm。ハイにすると首元までカバーする高さです アドベンチャーらしくワイドなハンドルを採用しています ベース以外のパッケージにはハンドプロテクターを標準装備 Rシリーズなどと同様に、ジョグダイヤルやクルーズコントロールを装備したスイッチ周り モード変更やグリップヒーターは右スイッチで操作可能です エッジが効いたタンク形状は他のモデルにはない鋭さ。ここまでの形はなかなかないですね~ 前後一体型のシートを採用 ウィンカーレンズには、BMWでは珍しくスモークレンズを採用しています カスタムかのような印象でカッコいいですね! 新型S1000RRとほぼ同形状のLEDウィンカー。かなりの明るさです 足周りにはブレンボ製モノコックキャリパーをラジアルマウント ラウンド形状のラジエーターコアには、マッドガードが標準で装着されています 270度クランクで鼓動感をより感じられるパラツインエンジンを搭載 スタンダードではダイヤルでプリロードを調整可能。プレミアムラインなら手元のスイッチで簡単に変更できます シフトペダルにはクイックシフターのセンサーがセットされています。スコスコ入るBMWのシフターは一度体感してみる価値アリ! オリジナル形状のマッスルなマフラーを採用。排気音は静かすぎず心地いいサウンド タイヤはスポーティーな走りにも対応する、ブリヂストンのT30を装着しています メーターの初期画面。シンプルかつ一目で分かりやすいデザインです スポーツ走行用の画面も用意されています。トラクションコントロールやブレーキ入力、バンク角も表示することが可能 メニューを操作すると様々な情報をチェックすることができます 以前は英語でしたが、本モデルでは最初から日本語に対応済み。スマホの電話帳も日本語で表示できるので大変便利になりました!
足着きとライディングポジション
シート高775mmのスタンダードにまたがってみました。身長174cmでかかとまでベッタリ、ひざが少し曲がる足着きのよさです! 試しにF750GSにもまたがってみました。こちらはシート高815mmでかかとが少し浮く高さ。F900XRのプレミアムラインは825mmなのでこれに近い感覚だと思います ライディングは上体が起きた楽々ポジション。意外とひざの窮屈さも感じません。ハンドル幅が78cm(グリップ端間)とワイドなのでゆったりとした印象です ハンドル位置が高めなので、スタンディングも可能です。荒れた舗装路やギャップはスタンディングで華麗にパスできそうです
パッケージ別の仕様と価格
F900XRには、ベース、スタンダード、プレミアムラインの3つの選べるパッケージが用意されており、付属する装備も価格も大きく異なります。また、車体カラーによっても価格が異なるので合わせてご紹介します。
なお、ベースは受注生産のため、納車までに長期間お待ちいただく場合があります。
パッケージによる違い
ベース 1,148,000円 | スタンダード 1,379,000円 (ベース比 +231,000円) | プレミアムライン 1,413,000円 (スタンダード比 +34,000円) | |
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ローダウンサスペンション ローシート | ― シート高825mm | ○ シート高775mm | ― シート高825mm |
サスペンションストローク | F:170mm R:172mm | F:150mm R:152mm | F:170mm R:172mm |
ETC 2.0 | ○ | ○ | ○ |
TFTメーター | ○ | ○ | ○ |
グリップヒーター | ○ | ○ | ○ |
ナビホルダー | ― | ○ | ○ |
パニアケースホルダー | ― | ○ | ○ |
ハンドプロテクター | ― | ○ | ○ |
キーレスライド | ― | ○ | ○ |
ヘッドライトプロ | ― | ○ | ○ |
アダプティブヘッドライト | ― | ○ | ○ |
ライディングモードプロ | ― | ○ | ○ |
ABSプロ | ― | ○ | ○ |
DTC (トラクションコントロール) | ― | ○ | ○ |
ダイナミックエンジンブレーキコントロール | ― | ○ | ○ |
ギアシフトアシストプロ | ― | ○ | ○ |
クルーズコントロール | ― | ○ | ○ |
ダイナミックESA (電子制御サスペンション) | ― | ― | ○ |
センタースタンド | ― | ― | ○ |
まずベースについては、他パッケージと比べてほとんどの装備が付いておらず、せっかくの最新バイクらしさを十分に体感できないため、正直よほど予算の都合がない限りおすすめはしていません。
実質的にはスタンダードとプレミアムラインの比較になるかと思いますが、大きな違いはローダウンと電子制御サスペンションの有無です。
スタンダードは、シートだけでなくサスペンションにもローダウン加工が施されており、身長174cmのスタッフではかかとまでベタ着きでした。サスのストロークが前後とも2cm短くなり、アドベンチャーらしさは多少スポイルされますが、足着きのよさから来る安心感は大きいですね。ストロークはそのままに足着きを改善したい場合は、プレミアムラインにローシート(別売・約5万円)を組み合わせることで、795mmまで下げる方法もあります。詳細は後述します。
プレミアムラインのみに装備された電子制御サスペンションは、二人乗りや重たい荷物を積んだ時でも、手元のスイッチ操作だけで簡単にリアサスペンションのプリロードを最適化でき、好みに合わせてダンピングも変更できる優れモノ。ちなみにスタンダードでも、手動にはなりますが工具不要でプリロードの調整ができます。
わずか34,000円の差額でこの装備が付くと考えると大変魅力的!
プレミアムラインにのみに装備されているセンタースタンドは、スタンダードにも後付けが可能ですが、部品代だけで約3万円するので、やっぱりプレミアムラインのお得感がより感じられますね。
車体カラーによる違い
ホワイト +0円 | レッド +26,000円 | ゴールド +26,000円 | |
---|---|---|---|
カラーコード | NB5 | NA5 | N2Z |
フロントフォークカラー | ブラック | ゴールド | ブラック |
ホイールカラー | シルバー | ブラック | ブラック |
標準装備 | ― | スポーツウィンドシールド | ― |
用意されている車体カラーは3色。外装以外の違いはフロントフォークとホイールの色、ウィンドシールド(スクリーン)です。スポーツを意識したレッドのみ、ゴールドのフロントフォークとショートスクリーンが装備されています。
パッケージとオプションシートの組み合わせ
F900XRには、標準シート以外に4つのオプションシートが用意されています。足着きを改善するローシートだけでなく、長身の方におすすめのハイシートもあり、パッケージとの組み合わせでシート高が違うので、まとめてご紹介します。
スタンダード | プレミアムライン | |
---|---|---|
ローシート 52,910円 | 775mm (標準装備) | 795mm |
標準シート 52,910円 | 805mm | 825mm (標準装備) |
![]() ハイシート 52,910円 | 820mm | 840mm |
![]() コンフォートシート 61,160円 | 825mm | 845mm |
![]() エクストラハイシート 55,550円 | 850mm | 870mm |
YAMAHA TRACER900GTとの比較
同クラスのエンジンを備え価格帯も近い、ヤマハのトレーサー900GTは、F900XRを検討する上で欠かせない存在です。というわけで最上グレードのプレミアムラインとトレーサーの主要諸元を比べてみましょう。優れている項目は下線にて強調しています。
概要
項目 | F900XR![]() | TRACER 900 GT![]() |
---|---|---|
価格(税込) | 1,413,000円 | 1,221,000円 |
カラー | ホワイト/レッド/ゴールド | シルバー/レッド/ブルー |
メーカー保証期間 | 3年間(最大5年まで延長可) | 2年間 |
まずは価格差から。F900XRのプレミアムラインと比較すると、192,000円の差があります。スタンダードでは158,000円の価格差となります。この価格差に見合う違いがあるのかが気になる所です。
メーカー保証の差は結構重要な点で、新車購入した場合最初に訪れる3年目の車検まで、心配要素を大きく減らすことができます。
しかも、わずか27,500円の追加料金で5年まで延長することができ、2回目の車検までも安心の親切プランです。
エンジン
項目 | F900XR | TRACER 900 GT |
---|---|---|
エンジン型式 | DOHC 4バルブ 水冷直列2気筒 | DOHC 4バルブ 水冷直列3気筒 |
ボア×ストローク | 86×77mm(1.12:1) | 78×59mm(1.32) |
排気量 | 894cc | 845cc |
最高出力 | 77kW(105HP)/8,500rpm | 85kW(116PS)/10,000rpm |
最大トルク | 92Nm/6,500rpm | 87Nm/8,500rpm |
圧縮比 | 13.1:1 | 11.5:1 |
心臓部は排気量こそ近いものの、別物のエンジンです。フィーリングについては主観が大きいのでここでは触れませんが、数値だけで見比べていくと、トレーサーの方がハイパワーで高回転型なのが解ります。
最高出力、最大トルクともに、F900XRの方が低い回転数でピークに達するので、より扱いやすく、コーナーが続く峠のワインディングでもグイグイ加速している様が想像できますね。
もちろんピーク値以上に常用域が大切なのですが、パワーカーブが公表されていないので想像だけです。あ、結局主観になってしまいました(笑)
なお、出力についてはHP(イギリス馬力)とPS(フランス馬力)で単位が違い、トレーサーの116PSを換算すると114.4HPとなります。
シャシー
項目 | F900XR | TRACER 900 GT |
---|---|---|
タイヤサイズ(F/R) | 120/70-17 180/55-17 | 120/70-17 180/55-17 |
ホイールベース | 1,530mm | 1,500mm |
シート高 | 825mm | 850/865mm |
全長 | 2,150mm | 2,160mm |
全幅 | 860mm | 850mm |
全高 | 1,420mm | 1,375mm |
重量 (燃料・油脂含む) | 223kg | 215kg |
同クラスの対抗馬なだけあって、車体関係のサイズはかなり近いですね。シート高はF900XRの方が25mm低いですが、車重はトレーサーが8kg(約4%)軽量。いずれも大きな差ではなさそうです。
航続性能
項目 | F900XR | TRACER 900 GT |
---|---|---|
燃料 | ハイオク | ハイオク |
燃費 | 23.8km/L | 19.7km/L |
燃料タンク容量 | 15.5L | 18L |
航続可能距離(目安) | 369km | 354km |
ロングツーリングを楽しむなら燃費は重要です。
ハイオク150円/Lとして1,000km走行した場合で単純計算すると、F900XRが6,302円、トレーサーが7,614円の燃料代がかかります。
タンク容量の少なさを燃費でカバーし、航続可能距離ではトレーサー以上に!
ちなみにF900Rは、燃費こそ同じながら13Lと少な目なタンク容量です。
装備
項目 | F900XR | TRACER 900 GT |
---|---|---|
フルカラーTFTメーター | ○ | ○ |
ライディングモード | 3段階 (別売りのコーディングプラグを装着することで+1段階) | 3段階 |
トラクションコントロール | モードに連動 (別売りのコーディングプラグを装着することでモードごとにパーソナライズが可能) | 3段階 |
エンジンブレーキコントロール | ○ | ― |
クイックシフター | アップ&ダウン | アップのみ |
ABS | ◎(コーナリングABS) | ○ |
クルーズコントロール | ○ | ○ |
グリップヒーター | ○ | ○ |
スリッパ―クラッチ | ○ | ○ |
サスペンションセッティング | F:調整不可 R:電子制御 | F:手動 R:手動 |
Fブレーキ | ブレンボ製4ピストンラジアルマウント | 4ピストンラジアルマウント |
ハンドプロテクター | ○ | ○ |
スクリーン調整 | 2段階 | 10段階 |
LEDヘッドライト | ○ | ○ |
コーナリングライト | ○ | ― |
キーレス | ○ | ― |
ETC標準装備 | ○ | ― |
トレーサーも多くの装備が付いているのですが、やはり比べてみるとF900XRの装備がいかに充実しているかが分かります。特に、シフトダウンにも対応したクイックシフターや、コーナリングABSはすぐに体感できる高性能デバイスです。
ハイウェイツーリングに必須のETCも、本体と取り付け工賃を合わせると4.3万円程必要なので、標準装備なのは意外と大きな差となります。
ここまで比較してみると、20万円弱の価格差も納得の違いがありますね!どちらも一長一短があり素晴らしいバイクですが、装備を重視するならば断然F900XRがおすすめです。
※2021年5月22日更新
燃料タンク容量に誤りがあったため、関連文章と合わせて修正しました。
見て分かるクオリティ、乗って分かる面白さ!
ぜひ実物をご覧ください♪